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僧帽弁閉鎖不全症について

こんにちは!

院長の木村です。

 

今日は犬の心臓病で最も多い『僧帽弁閉鎖不全症』について説明したいと思います。

 

心臓の働きについては前回の投稿をご参考ください!

心臓の働き

 

【原因・病態】

まず僧帽弁閉鎖不全症の原因ですが、多くは加齢によるものと言われています。

通常は薄い半透明の弁なのですが、徐々に弁が厚くなってしまいます。(粘液腫様変性)

弁の閉鎖がスムーズにできなくなってしまい、血液が逆流してしまいます。(僧帽弁逆流)

血液が左心房に逆流することにより、徐々に左心房が大きくなってしまいます。最初は頑張って左心房を膨らませて、なんとか耐えていきますが、膨らむにも限界があります。

 

限界を迎えた状態を心不全と呼び、肺水腫や不整脈といった致命的な症状を起こしてしまいます。

 

正常の胸のレントゲン             心不全(肺水腫)の胸のレントゲン

 

右側のレントゲンの状態では肺が水浸しの状態となり、呼吸困難となり命に関わります。

 

【診断・検査】

診断は聴診や画像検査で行います。

聴診では心雑音の有無を確認します。

レントゲン検査では心臓の大きさや肺の黒さを確認します。

エコー検査では実際に心臓の内部構造を確認できるため、僧帽弁に異常がないか、心臓の各部屋の大きさや血流に異常がないか確認していきます。

さらに心電図検査では、不整脈がないか確認します。

 

【重症度分類】

僧帽弁閉鎖不全症には様々な重症度(病期)分類がありますが、最近はアメリカの獣医内科学会が作成したACVIM分類というもので説明することが多いです。当院でもこちらの分類を使用しております。

上の表がACVIM分類の詳しい説明です。

 

ステージA・・・心臓病リスクの多い犬種はこちらに分類されます。具体的にチワワやキャバリアというだけでステージAになってしまいます!

 

ステージB・・・聴診や検査で僧帽弁逆流が認められる場合はステージB以降になります。この段階では多くの動物さんは無症状です。

さらにBにはB1(検査上心臓は大きくない)とB2(検査で心臓が大きい)の2つに分かれます。ここがポイントです。

 

ステージC・・・ここから心不全と言えます。明らかな症状が現れます。具体的には咳や運動不耐性(遊ばなくなる、散歩の距離の短縮など)があります。また、肺水腫という呼吸困難に陥ってしまうため、初期は入院治療が必要となることがほとんどです。

 

ステージD・・・末期的な状態です。強い心不全治療を行なっても安定しない動物さんのことを指します。

 

【治療】

治療は内科治療(投薬)がメインとなります。

僧帽弁閉鎖不全症は基本的には進行性の病気であり、投薬により完治することはできません。症状の進行を抑えることが目標となるため、生涯に渡って投薬が必要となることがほとんどです。

また、最近ではステージB2の段階で外科手術による僧帽弁の修復術(人工心肺下による開心術、弁輪縫縮術・腱索再建術)が推奨されるようになっております。もしご希望の飼い主さんがおられましたら、ご相談下さい。(専門施設へご紹介します)

無症状であっても早期に発見・治療することで心不全へ進行することを防げる可能性もあります。

過去に心雑音を指摘されたり、咳や息切れなど気になる症状があればお気軽にご相談ください。

 

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