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【学会報告】タイでの世界学会に参加してきました!最新の医療を地域の皆さまへ

皆さま、こんにちは。木更津みき動物病院の院長、木村です。

先日、少しの間お休みをいただき、タイのプーケットで開催された「ヒルズ・グローバル・シンポジウム2026」に出席してきました。世界中から獣医師や研究者が集まる非常に大きな国際シンポジウムです。

今回のメインテーマは、「健やかな皮膚は、内側から育つ(Healthy Skin Starts From Within)」。 皮膚病に悩む多くのわんちゃん・ねこちゃん、そして飼い主様のお役に立てる最先端の知見をたくさん吸収してきました。

今回は、セミナーで学んだ最新トピックの中から、特に皆さまのペットにも関係の深いポイントをいくつかピックアップしてご報告します。

 

1. 注目される「腸‐皮膚軸」と『ポストバイオティクス』

最近の医学・獣医学では、「腸の状態が皮膚の健康に直結している(腸‐皮膚相関)」という考え方が非常に重要視されています。犬のアトピー性皮膚炎(CAD)では、皮膚だけでなく腸内の細菌バランス(マイクロバイオーム)も変化していることが分かっています。

そこで今、世界的に注目されているのが『ポストバイオティクス』です。 これは「生きた菌(プロバイオティクス)」を摂るのではなく、「死菌やその成分」を安全に体に取り入れる方法です。

  • 長期保存が利き、品質が極めて安定している

  • 生菌と同じか、それ以上の優れた効果が期待できる

  • 皮膚だけでなく、腎臓・脳・心臓など全身の健康(相関関係)にも良い影響を与える

当院でも、皮膚や内臓のトラブルを抱える子たちへ、食事やサプリメントの選択肢として積極的に取り入れていきたいと考えています。

2. 猫ちゃんの皮膚病(FASS)と最新のケア

猫ちゃんのアレルギー性皮膚疾患(FASS)についての最新データも共有されました。 猫ちゃんの皮膚病は、お腹や背中にブツブツができる「粟粒性(ぞくりゅうせい)皮膚炎」や、自分で舐め壊してしまう脱毛、お顔周りの強い痒みなど、実に様々な形で現れます。

今回のセミナーでは、従来のステロイド治療だけでなく、以下のような新しいお薬やサプリメントの有効性が議論されました。

  • PEA(パルミトイルエタノールアミド): 体内で作られる安全な成分で、ステロイドの量を減らす(減薬効果)が期待されています。

  • ガバペンチン: 神経の過剰な興奮や痒みの悪循環(中枢感作)を抑えるために、海外の専門医(ドメニコ先生など)も効果的に使用しています。

「猫ちゃんがずっと体を舐めている」「顔を痒がっている」といった症状にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

3. 小型犬の「お腹の特性」に合わせた栄養

日本の家庭で多く暮らしている小型犬についても、興味深い発表がありました。 小型犬は大型犬に比べて結腸(大腸)が短く、食べたものがお腹を通過する時間が短いという特徴があります(排便まで大型犬が約60時間かかるのに対し、小型犬は約24時間!)。

そのため、発酵の時間が短くなりがちですが、「繊維質を4%増やしたフード」を与えることで、腸内の善玉菌が増え、腸のエネルギー源となる物質(短鎖脂肪酸)が増加し、有害な毒素が低下することが分かっています。体格に合わせたピンポイントな食事管理の重要性を改めて実感しました。

4. 「食べない」の裏に隠された心の病気(不安障害)

「うちの子がどうしてもご飯を食べない」というお悩み、実は単なるワガママや好き嫌いではなく、「全般性不安障害」という心の病気(精神的なストレス)が原因であるケースが報告されました。

  • 皮膚と神経(脳)は、生まれる前の根っこ(外胚葉)が同じ

  • 「腸ー皮膚ー脳」は互いに強く影響し合っている(ストレスが皮膚やお腹を悪化させる)

セミナーの症例では、決まった時間の食事を強制するのをやめ、安心して隠れられる場所(クレートなど)を作り、行動をサポートするお薬(パロキセチンなど)を適切に使用することで、7週間目に見事に自発的な食事を取り戻した犬のケースが紹介されました。 「食べない」原因が病気やフードの味だけでなく、「不安や恐怖」にあるかもしれないという視点は、今後の行動学を交えた診療に大きく活きると確信しています。

5. 猫ちゃんの尿石を見逃さない「膀胱鏡」の技術

当院でも力を入れている外科・内視鏡の領域では、猫ちゃんの尿路疾患に対する「開腹補助下膀胱鏡(PCCL)」の有用性が示されました。

レントゲンやエコーでも写らないほど小さな「微小結石」やデブリ(細胞のゴミ)が、尿道が詰まる原因になっていることがあります。通常の開腹手術による膀胱切開では、約20%の確率で石を取り残してしまうリスクがありますが、内視鏡(膀胱鏡)を使うことで取り残しを4%以下にまで激減させられるという圧倒的なエビデンスが示されました。当院の強みである精密な診断・治療をさらに研ぎ澄ませてまいります。

🌟 海外学会ならでは!熱気あふれるパーティーでの交流

そして学会の夜には、海外学会の醍醐味でもある素晴らしい歓迎パーティーが開催されました。

日本国内の先生方はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国の第一線で活躍されている獣医師や研究者の先生方と直接お話しできる本当に貴重な機会となりました。

言葉の壁を超えて、「どうすればわんちゃん・ねこちゃんの痒みや苦痛をもっと早く取り除いてあげられるか」「オーナー様の不安を解消するために普段どのような工夫をしているか」といった熱い治療哲学をたくさん語り合うことができ、非常に大きな刺激とエネルギーをもらいました。

最後に:これからの木更津みき動物病院が目指すもの

今回のシンポジウムを通じて、世界中の著名な先生方からたくさんのエネルギーをもらいました。 私たちが日々行っている診療の方向性が、世界の最先端のエビデンス(科学的根拠)と合致していることを確認できたと同時に、さらに治療の選択肢を広げるヒントを多く得ることができました。

医療の世界は常に進化しています。ここで得た熱い刺激と最新の知識を、一刻も早く日々の診療を通じて皆さまに還元したいと思っています。

今回のタイでの学びをスタッフ全員でしっかりと共有し、明日からの診療、そして何より地域のわんちゃん・ねこちゃんたちの健康長寿へしっかりと還元していきます!

気になる症状や、食事・行動に関するお悩みがございましたら、いつでもお気軽に診察室でご相談くださいね。

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